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薬剤師の仕事・働き方・キャリアに関するトピックスから、最新の薬剤師求人、派遣や単発派遣に関する法律やルールまで。薬剤師の最新事情に精通したアプロ・ドットコムのスタッフが、就職・転職に役立つ記事を配信いたします。

薬剤師のライフスタイル

2025.01.08

薬局業界の動向と薬剤師の求人トレンド【2025年・正社員編】

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薬剤師として働いている人のなかには、現在の職場を辞めて転職したいと考えている人もいるでしょう。あるいは、今は働いていないけれど薬剤師として復職したいという人もいるかもしれません。そういった場合は「薬局からドラッグストアへの転職は可能なのか」「今後はどんな求人が増えるのか」など、知りたいことがたくさんあるでしょう。

今回は、現在の薬局業界の動向と薬剤師の求人トレンド、正社員として転職を成功させるコツを紹介します。まずは前編として正社員編をお届けするので、薬剤師として働きたい人はもちろん、薬剤師業界について知りたい方はぜひ参考にしてください。

薬局業界の動向

ここではまず、現在の薬局業界の動向を6つ紹介します。

・ドラッグストアの調剤併設が増加

全体でみると薬剤師になる人は年々増加傾向で、需要よりも供給が増えつつあります。しかし業態によって状況は異なります。

以前は調剤薬局単体の店舗がたくさんありましたが、最近はドラッグストアが調剤を併設することが増えており、単体で営業している店舗が減少しています。そのため、調剤薬局では薬剤師の需要が減少。一方で、ドラッグストア業界は調剤併設型が増加していることから、薬剤師不足に陥っている店舗が増えています。ドラッグストアの調剤薬局併設率は企業によって違いますが、大手企業では半数から7割といった高い数値です。

ドラッグストアに調剤併設型が増えている理由は、買い物に行った時に調剤薬局を利用でき、待ち時間を効率的に使えるという利便性の良さも関係しています。このように、中小規模の調剤薬局が減ったことで薬剤師の職場の選択肢が狭まりつつあります。

・新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスが流行したことにより、病院の受診率は大きく低下しました。2021年1月~11月までの調剤薬局の倒産は前年度より63%も増え、2020年の処方箋枚数は前年度より27%も減る結果に。これに伴い、薬剤師のニーズも低下しましたが、現在は徐々にコロナ前の状況に戻りつつあります。

一方で、ドラッグストア業界の業績は、新型コロナウイルスによる特需で好調になりました。マスクや消毒用アルコールはもちろん、外出が減り日用品の買いだめが増加したためです。2022年には売上・店舗数ともに増加となりましたが、2019年以降の一店舗当たりの売上げは横ばいとなっています。

・在宅サービスの強化

超高齢社会が進み、居宅療養管理指導の需要が高まっています。居宅療養管理指導とは要介護者が自宅で自立した生活を送るために、医師や薬剤師、看護師などがサポートすることです。薬剤師は患者様の自宅に薬を届け、服薬指導、残薬調整などを行います。

居宅療養管理指導はひとりで行うものではありません。基本的に、医師や看護師、ケアマネジャー、介護士などと連携をとりながら行います。それ以外にも、薬機法の改正によってオンライン服薬指導が可能になるなど、従来のように調剤薬局に患者様が来店したうえで指導していたころとは働き方が変わってきています。

・都市部は競争率が高く、地方は人手不足

都市部以外の人口が少ない地域では慢性的な薬剤師不足に陥っているところもあります。薬学部が都市部に多く、卒業後にその近辺で就職してしまうことが関係しています。また、利便性の良い都市部では就職・転職したい人が増えていることもあり、地方での薬剤師不足はますます深刻化しています。

・正社員で経営に関わる人が求められている

ドラックストアの業績拡大に伴い、店舗数も年々増加していることから、ドラッグストアは生き残りをかけ、店舗開発・M&Aなど、さまざまな取り組みを行っています。そのため、ドラッグストアの経営に関わる正社員を求める企業が増加。調剤などの担当業務だけではなく、大規模な仕事に携われる可能性があります。薬剤師経験と経営の知識・ノウハウの両方があれば、実店舗で働いた経験を十分に活かすことができるでしょう。

・AIによる仕事の補助

AIの進化を身近に感じる機会が増え、「薬剤師の仕事もAIに代替されてしまうのではないか」と不安になる人もいるでしょう。しかし、現在開発しているAIは、服薬指導などの内容を薬剤師に推奨するなど、あくまで薬剤師の仕事を補助するものです。薬剤師の仕事が10~20年でなくなる確率は1.2%だと指摘する研究結果もあります。現在の仕事の49%がなくなるといわれていることを考えると、薬剤師の将来には希望があるといえるでしょう。AIは薬剤師が十分に力を発揮するためのサポートなのです。

今後の薬剤師の正社員求人はどうなる?

ハローワークの就労統計データによると、令和2年度の全国の薬剤師数は243,650人です。また、別の調査では、OECD加盟国のなかで人口10万人あたりの薬剤師数は日本が最も多いという結果に。しかし、薬剤師数の内訳を見てみると、60%以上の20万人程度が女性となっているため、出産や育児などで休職したり、派遣やパートで勤務したりする人が多いと考えられます。そんななか、今後の正社員の求人がどうなっていくのかを以下の6つのポイントに着目して紹介します。

・有効求人倍率は年々低下

ハローワーク求人統計データ によると、令和5年度の薬剤師の有効求人倍率は3.41となっています。実は、医師や薬剤師の有効求人倍率は年々低下しており、転職は厳しいといわれがちです。しかし、現在も薬剤師の有効求人倍率は3倍を超えており、全く転職先が見つからないというわけではないでしょう。

・地方には高待遇な求人も

前述したように、薬剤師は都市部よりも地方で不足しています。特に人口が少なく、高齢化が進んでいる地域、医療が乏しい地域では深刻な問題です。このような地域では、ひとりの薬剤師が支える高齢者の数が多く、薬剤師の負担も大きくなります。その分、高待遇の求人がでやすくなるため、薬剤師として年収アップの転職をしたいなら、人手不足である地方で働くのもひとつの方法です。

・スペシャリストが求められる

「専門薬剤師」「認定薬剤師」など、薬剤師の知識やスキルを証明している資格を持っている人のニーズが高まりそうです。近年では外来化学療法が増加し、調剤薬局でもより高度な調剤ができる薬剤師の需要が増えています。競争率の高い地域で就職したい場合は、アピールできる強みとなるはずです。また、「高収入を得られる」「管理職をめざせる」などの魅力もあります。

・地域に根差した専門家が求められる

高齢者の健康サポートをするためには、在宅医療に対応できる薬剤師が必要です。また、患者様の服薬やサプリメントを管理する「かかりつけ薬剤師」として、医師よりも近くで患者様をサポートできる専門家も欠かせません。

地域と深く関わる薬剤師は健康相談を定期的に行うことがあるため、患者様の変化に気づいてアプローチを変えたり、服薬や健康に関する悩みを解決したりする必要があります。また、一般的な薬はもちろん、注射や点滴の無菌調整の技術、緩和ケア、介護に関する知識もあると活躍できるでしょう。

時には薬剤師として地域イベントに参加して地域との人間関係をより良くし、積極的に情報を発信することも求められるかもしれません。このように、在宅医療や地域医療の経験を持つ薬剤師は即戦力として期待されます。

・セルフメディケーションが進む

セルフメディケーションとは、市販で購入できる一般用医薬品(OTC医薬品)を使い、病気予防や体調管理を行うことです。ドラッグストアにはたくさんの市販薬があるため、何を選べば良いのか判断するのが難しいもの。そんな時に一人ひとりに寄り添ったサポートのできる薬剤師がいれば安心できます。そのためには、患者様のニーズやライフスタイルを細かく把握できる観察力やコミュニケーションスキル、豊富な知識が必要です。

また、少子高齢化社会による医療費の増大があり、国も軽度の不調は自分で治そうという流れを推進しています。今後も市販薬を多く扱うドラッグストア利用者の増加が予想されており、引き続き薬剤師の高い需要が見込まれます。

・製薬企業に正社員として転職をめざす人が増える

 調剤経験のある人が製薬企業へ正社員として転職するメリットは、長期的に考えた時に年収アップが期待できることです。薬剤師としての高い知識、スキルに加えて、コミュニケーション力や学習意欲が必要とされますが、今後はそのルートをめざす人も増えるでしょう。

正社員の転職を成功させるには?

以前は薬剤師の取り合いとなっていましたが、現在薬剤師不足は解消しつつあります。薬剤師は国家資格で安定していることから人気があり、男女問わず多くの人がめざしています。そのため、将来的には薬剤師が過剰になると予想されています。ここからは、厳しくなりつつある転職活動で成功するためのコツを4つ紹介します。

・アピールできるスキルや資格をしゅとくする

薬剤師の転職活動を勝ち抜くには、他の薬剤師との差別化が重要です。スキルや経験が豊富な人ほど有利になり、アピールできるスキルが少ない人は転職活動で苦戦するでしょう。薬剤師は薬を必要とする患者様に薬の説明をし、相談に応じて適切なアドバイスをするなど、人に関わる機会が多いため、コミュニケーションスキルが必要となります。

資格については、前述した「専門薬剤師」「認定薬剤師」など、薬剤師の知識やスキルの証明になるものを取得しておくと良いでしょう。

・転職理由はポジティブに伝える

転職理由をネガティブに伝えている人は、薬剤師の転職活動で苦戦しやすい傾向です。採用担当者への印象が悪くなるだけではなく、「同じ理由で辞めてしまうのではないか」と判断される可能性があるためです。

「人間関係がうまくいかなかった」「ノルマが厳しかった」「残業が多かった」など転職理由がネガティブな場合は「みんなと協力して気持ち良く働ける職場を探している」「患者様と丁寧に向き合いたい」など、ポジティブに言い換えるようにしましょう。

・年収だけで職場を探さない

転職活動において収入を重視するのは大切ですが、年収だけにこだわり過ぎているとうまくいきません。年収が高ければ求人数も減り、好条件の求人には応募が殺到するため倍率が高くなります。また、年収だけで職場を選ぶと、人間関係や労働条件などの要因で失敗してしまう可能性も出てきます。年収だけではなく、自分の希望条件に優先順位をつけながら求人を選ぶようにしましょう。

・キャリアアドバイザーを活用する

転職活動の際に、薬剤師専門の転職エージェントを利用するのもおすすめです。多数の求人情報を一括して比較検討でき、転職の専門家のアドバイスを受けられるのが魅力です。数多くの薬剤師の転職を見てきたキャリアアドバイザーからアドバイスをもらえることで、本当の自分の考えに気づくこともあるでしょう。

転職エージェントには掲載している求人だけではなく、非公開求人があるのもメリット のひとつです。たくさんの求人情報があれば、自身の希望条件にぴったりの転職先を見つけられる可能性が高まります。

薬剤師の仕事を探すなら「アプロ・ドットコム」をチェック!

今回は、薬局業界の動向と今後の求人のトレンドについての前編として「正社員編」を解説しました。特に都市部では、以前のように売り手市場とはいえず、独力での転職では失敗する可能性もあります。せっかく正社員として転職するなら、長く働ける職場に出会いたいものです。

転職を検討している方におすすめしたいのが「アプロ・ドットコム」のキャリアアドバイサーの活用です。アプロに登録すると、薬剤師の転職サポートや経験豊富なキャリアアドバイサーのカウンセリングや求人紹介を受けることができます。

転職には、企業・求人の検討、応募・面接、次の職場に勤務する準備の3つの段階があります。転職成功のカギを握るのは、この3つの段階でいかに適切に行動できるかです。

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